アートと工芸に触れる
杜の都リトリート

日本遺産「政宗が育んだ“伊達”な文化」が物語る通り、仙台市には藩政時代から優れた芸術や伝統工芸が培われ、気軽にアートや美術工芸品の鑑賞ができるスポットが市中にあふれている。
そんな歴史背景や仙台文化を学びながら、美に触れて心うるおうような芸術散歩をぜひ満喫してほしい。

「政宗が育んだ“伊達”な文化」を感じて仙台を巡る

  • 仙台藩祖・伊達政宗公は、飢饉に備えて家臣たちに栗や梅、柿など実のなる木を屋敷内で育て、隣家との境に杉を植えるよう奨励。こうしてできた屋敷林や寺社仏閣の林、広瀬川河畔や青葉山の自然環境が相まって、城下町に豊かな緑にあふれたことが“杜の都”の愛称が生まれたいわれだという。その代名詞ともいえる定禅寺通では、ケヤキの木々に映える彫刻や建築美が訪れる人の目を楽しませてくれる。

仙台市博物館

  • そんな美しい街並みを生んだ仙台の歴史や伝統文化を学ぶために、まずは仙台城三の丸跡に位置する「仙台市博物館」へ。

  • 仙台伊達家から寄贈された文化財をはじめ、仙台の歴史や美術、文化に関する資料の保管と展示、研究のため昭和36(1961)年に開館。その25年後に同地で全面新築がなされ、現在の近代的な建物になった。さらに、令和4(2022)年に大規模改修がスタートし、令和6(2024)年4月に再開館。最新の展示設備を導入し、展示資料をよりリアルに感じられるようになった。実物の資料に触れることができるコーナーなども新設されている。

  • 常設展では、ユネスコ「世界の記憶」に登録された「支倉常長像」など3点を含む国宝「慶長遣欧使節関係資料」や、重要文化財の伊達政宗所用具足・陣羽織、豊臣秀吉所用具足などを展示(※展示期間は要確認)。前述した仙台伊達家からの寄贈資料をはじめ、仙台藩に関わる歴史・文化・美術工芸資料など約10万点を収蔵している。展示内容は季節ごとに変わるので、来館するたびに新しい発見があるかも。多彩なテーマの特別展・企画展や研究者を講師に招いて行われる講座なども見逃せない。

住所 宮城県仙台市青葉区川内26
アクセス 東北自動車道仙台宮城ICより車で約15分
駐車場 あり
TEL 022-225-3074
営業時間 9:00~16:45(入館は16:15まで)
定休日 月曜(祝日・振替休日の場合は翌日)休、12月28日~1月4日休
公式HP https://www.city.sendai.jp/museum/
Twitter https://x.com/sendai_shihaku

せんだいメディアテーク

  • 美しいケヤキ並木が続く定禅寺通の沿道やグリーンベルトを歩くと、目の前に全面ガラス張りの未来的な建築物と遭遇。青空や流れる雲を鏡面に映しながら、木漏れ日の光を反射してキラキラと輝く姿に思わず見惚れてしまうだろう。

  • 「せんだいメディアテーク」は、ギャラリー、図書館、映像センター、目や耳の不自由な方への情報提供などさまざまな機能を内包する複合施設。設計に携わったのは、プリツカー賞など数々の受賞歴を誇る巨匠・伊東豊雄氏で、「せんだいメディアテーク」も代表作の一つだ。外観も素晴らしいが、最大の特徴はチューブと呼ばれる13本の柱状の鉄骨独立シャフト。建物を支える役割と共に、階層を貫いて設備や自然光、空気の流れを通す機能を備えている。また、2025年にアメリカ出身の日本文学者、ロバート キャンベル氏が館長に就任したことも大いに話題を集めている。

  • まずは、1階プラザの開放感あふれる空間に驚かされるだろう。オープンスクエアでは、講演会やシンポジウム、展示会などを開催。ミュージアムショップやカフェスペースなどもあり、仙台市民の憩いの場にもなっている。3・4階のライブラリーは仙台市民図書館として豊富な蔵書や資料を収め、5・6階のギャラリーと7階のスタジオは美術や映像文化の市民活動拠点となっている。

  • 「せんだいメディアテーク」は22時まで開館しており、館内の光を放ちながら夜景に浮かび立つ姿も実に美しい。

住所 宮城県仙台市青葉区春日町2-1
アクセス 東北自動車道仙台宮城ICより車で約10分
駐車場 あり
TEL 022-713-3171
営業時間 9:00~22:00(仙台市民図書館・映像音響ライブラリーは9:30~20:00〈土・日曜・祝日は~18:00〉)
定休日 1~11月の第4木曜休、12月29日~1月3日休(仙台市民図書館・映像音響ライブラリーは月曜〈祝日の場合は翌日〉休、1~11月の第4木曜休、12月28日~1月4日休)
公式HP https://www.smt.jp/
Twitter https://x.com/mediatheque_pj?lang=ja
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCsMcW8zC22vJTRk8Y96EJWg

東北工芸製作所「玉虫塗総本舗」

  • つややかな質感と光沢、光の加減で色合いが微妙に変化する神秘的な仕上がりからタマムシの羽根に例えて名付けられた仙台生まれの漆芸「玉虫塗」。そんな仙台が誇る名品を手がけている「東北工芸製作所」。

  • 昭和7(1932)年、国立工芸指導所において開発された特許技法「玉虫塗」。その特許の使用許諾を得て翌年に創業したのが「東北工芸製作所」だ。宮城県の伝統的工芸品の指定を受け、その高度な技術によって生まれる美しい仕上がりが全国で評判が高まり、現在では仙台ならではの特産品として広く親しまれている。

    漆芸の伝統的な技法である本堅地下地を施した器に全面銀粉をまき、その上から染料を加えた透明な漆や塗料を塗り上げるのが独特の美しさを生み出す秘密。さらに、産業技術総合研究所東北センターとの共同研究により高耐久性漆器を実現。鑑賞用の器はもちろん、テーブルウェアや文房具など日常に寄り添う製品も数多くラインナップしている。6色の玉虫塗ビクトリーグラス(1脚8800円)は、まさに技術の粋が凝らされた逸品。特別な来客をもてなすのにふさわしい輝きを放っている。

  • 宮城県内にとどまらず、県外にも商品の取り扱いがある店舗はあるが、ぜひ本店のショールームを訪ねたい。玉虫塗を身近に感じてもらうための製作体験も受け付けている(要予約)。

住所 宮城県仙台市青葉区上杉3-3-20
アクセス 東北自動車道仙台宮城ICより車で約15分
駐車場 お近くの有料駐車場をご利用ください
TEL 022-222-5401
営業時間 10:00~18:00
定休日 土・日・月曜・祝日休
公式HP https://www.t-kogei.co.jp/

仙台光原社

  • 五ッ橋通りを進むと、壁面に蔦が這うどこか懐かしい雰囲気の建物が。窓から覗くと、棚に並ぶ色とりどりの器や手触り良さそうな染め物、可愛らしい郷土玩具などでいっぱい。俄然、興味が高まってお店の扉を開けた。

  • 昭和43(1968)年、岩手県盛岡市にある「光原社」の仙台店として開店。初代・及川四郎氏が掲げた「理想をもって良きものを集める」という思いの下で運営されている工芸店で、現在は四郎の曾孫にあたる陽一郎氏が担当している。建物は、盛岡本店を手がけた棟梁が改装し、独特な趣を感じさせる。看板と鉄行燈は、染色工芸家で人間国宝の芹沢銈介氏によるデザイン。内装も、“芹沢銈介の懐刀”と呼ばれるアートディレクター・秋山正氏が手がけている。

  • 漆器や焼き物、木工、鋳物、郷土玩具など、全国各地の工人や作家が手がける民芸品が取り揃えられており、思わず目移りしそう。海外の雑貨もバラエティー豊かに並んでおり、手に取れば愛着が湧きそうな逸品ばかり。染色から織りまで全て手作業で行う岩手のホームスパンや、広瀬川の砂を原料にした仙台市秋保の「海馬ガラス工房」のグラスといった、東北の名品も見逃せない。お店を訪れるタイミングによって品揃えが異なるため、足繁く通ってお気に入りを探したい。
    定期的に企画展も行っており、注目の工芸作家や時節にあったテーマで手仕事の民芸品を展示、販売。毎年2〜3月に開催している「郷土玩具 雛の会」は、特に人気の催しだ。

  • 型染めのトートバック(1万9800円)といった、この店にしかない商品もたくさんあるので、くれぐれもお買い逃しなく。

住所 宮城県仙台市青葉区一番町1-4-10
アクセス 東北道仙台宮城ICから車で約30分
駐車場 お近くの有料駐車場をご利用ください
TEL 022-223-6674
営業時間 10:00~18:00
定休日 毎月15日休(土・日曜・祝日の場合は営業)
公式HP http://kogensya.sakura.ne.jp/
Instagram https://www.instagram.com/kogensya.sendai/

カフェ モーツァルト アトリエ

  • 東北大学片平キャンパスの近くまで来たので、片平丁通りの老舗カフェでひと休み。

  • 昭和51(1976)年、一番町で開業した「カフェ モーツアルト」。その2号店として、平成17(2005)年8月にオープンしたのがこの「アトリエ」だ。地階へ続く階段を下ると、意外にも大きな窓が張り出した開放的な空間が広がっている。店内には、アンティークの家具や調度類、リトグラフなどが印象的に配され、真空管アンプによるクラシック音楽がゆるやかな時の流れを演出している。テーブルや椅子も趣向さまざま。お気に入りの席を探すのも、ちょっとした楽しみとなりそうだ。

  • この店をよく知るお客の目当てはやはり、眺望抜群のテラス席だろう。目の前には広瀬川と青葉山の山並みが広がっており、四季折々に違った景観美を楽しませてくれる。春から秋のベストシーズンに席が埋まりがちなので、ぜひ事前に電話で問い合わせを。

  • オーダーしたのは、日替わりの本日のケーキ(800円)とブレンドコーヒー(600円、ケーキとセットで100円引き)。この日のケーキは、カフェ モーツァルト6店舗の中で、ここでしか提供していないという特製のカスタードプリン。やさしい舌ざわりと甘さがコーヒーのアロマにマッチし、至福の心地へ誘う。
    18時以降にイベント会場となる日もあり、アマチュアからプロまで幅広いジャンルのミュージシャンがライブを行っている。夜の店内はグッと落ち着いた大人の雰囲気になり、しっとり弾き語りの演奏を聴けば心に沁み入りそうだ。

住所 宮城県仙台市青葉区米ケ袋1-1-13-B1F
アクセス 東北道仙台宮城ICから車で約15分
駐車場 あり
TEL 022-266-5333
営業時間 11:00~17:30(土日曜・祝日は18:00まで)
定休日 1月1日
Instagram https://www.instagram.com/cafe_mozart_sendai?igshid=19f7vr7xpujz3

  • 藩政時代から培われてきた、仙台人の美意識に触れるアートな散策。伝統の工芸から近代建築まで幅広く楽しめ、まだまだ奥は深そうだ。

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